古い知り合いは忘れられ、二度と思い出されることはないのでしょうか? そんなことはありません。今回は、2021年に発表したEBM Focusの中から、編集部が選んだお気に入りの5件をご紹介します。
この5件にまとめられている研究は、practice-changing な新しい所見を提供し、古いデータの新しい見方を提供し、そして何よりも未来への希望を(少なくとも少しは)与えてくれたものです。
皆様が気に入った EBM Focus はございましたか? 特に読者数の多かった上位5件の EBM Focus は、この記事の一番下でご紹介しています。EBM Focus の編集スタッフ一同、皆様の2022年が健康、幸せ、そして質の高いエビデンスに満ちたものとなることをお祈りしています。
Mary Jane for Chronic Pain?
2021年に発表された EBM focus でお気に入りというと、やはりこの記事です。
回りくどい標題はさておき、のシステマティック・レビュー(系統的レビュー)とメタアナリシスでは、非がん性慢性疼痛に対するカンナビノイドの非吸入投与は、(少なくとも精神疾患や薬物乱用歴のない集団において)危害のエビデンスを伴うことなく(わずかではあるが)ベネフィットがあるという新しいエビデンスを提示しています。
率直に言って、この分析には5つのパルミトイルエタノールアミド(PEA)の臨床試験が含まれており、これが結果を曇らせていることは、ほぼ間違いありません。この分析から、慢性疼痛に対するカンナビノイドの処方については ”turn on, tune in, and drop out" することを推奨しています。
Nonfatal MI: Death of a surrogate?
参照:JAMA Intern Med. 2021年12月1日
臨床試験における真実解明の代表として、サロゲート・エンドポイントの概念は、常に少々厄介な要素でした。
この非臨床試験において、最も臨床的に用いられる(最終的な)転帰の1つである非致死性心筋梗塞(MI)は,総死亡や心血管死との相関が著しく不十分であり,これらの転帰の代替として使用することはできないことが示されたのです。 非致死性心筋梗塞を複合エンドポイントの構成要素に含めない状態で、有意差を見出さなければならない、次の心血管試験の試験担当者に、幸運がありますように。
$emaglutide for Weight Loss Leads to Looser Belts and Lighter Purses
正直なところ、私たちは当初、GLP-1 受容体作動薬の注射製剤、セマグルチドによる体重減少については、大したものではないと思っていました。セマグルチドは高価な減量薬の1つに過ぎず、体重の減少は控えめで、副作用の結果として食欲減退が起きているのだろうと考えたのです。
しかし、プラセボが6ポンド(約3キロ)だったのに対し、週平均34ポンド(約15キロ)もの体重減少をもたらしたこの臨床試験の批評には(最善を尽くしましたが)中々苦労させられました。
薬剤の忍容性、治療へのアドヒアランスは良好なものでした。
我々のような皮肉屋は、68週間の試験中、毎月食事と運動についてカウンセリングを受け、食事日記を毎日つけたプラセボグループに属する人々が、平均6ポンドの体重減少に留まったことを知って、落胆したのです。
EAGeR to Find Significance, Researchers Use New [per] Protocol to Reanalyze Preconception Aspirin Data
実はこの分析は、2013年に行われた妊娠前の低用量アスピリン投与による不育症防止に関する臨床試験をリブートしたものです。 オリジナルの試験が有意なベネフィットを実証できなかった後、著者が同じデータに対し、より保守的でない異なる統計を適用したところ、案の定、アスピリンはプラセボよりも高い出生率を示していることを発見したのです。
私たちは、アスピリンとプラセボそのもの差異よりも、プラセボとアスピリンに対するアドヒアランスの方が、妊娠率・出生率の数値に大きな違いをもたらすことの方を、興味深く感じました。
Modified Research Protocol Breaks our Heart a Little in an Otherwise Handsome Trial of Sotagliflozin (SOLOIST-WHF)
昨年のバレンタインデーに公開した(タイトルが Breaks our Heart になっているのはこのためですが) EBM Focus では、退院時に SGLT2/SGLT1 阻害薬であるソタグリフロジンを投与された成人糖尿病患者の、心不全関連死と再入院について評価することを目的とした臨床試験についてご紹介しました。
残念なことに、この試験は予定の半分も登録が完了しないうちに、資金が枯渇してしまいました。更に残念なことに、担当者らは複合アウトカムに未判定の Urgent Care 受診とその後の入院を追加することにより複合評価項目を強化することを選択したのですが、この選択が、統計的に有意な結果をもたらすことになってしまいました。
この試験と同様に、我々はこの結果の確実性に対し、バイアスをかけていたのです。
読者が選ぶ EBM Focus Summaries 2021年トップ5 (閲覧数に基づく)
- Boosting data on Pfizer vaccine efficacy
- Pros and cons of procalcitonin for pneumonia
- Platelet-rich plasma no better than placebo for ankle OA
- Finger on the pulse: Standard vs revised newborn pulse-ox screening for congenital heart disease
- Getting to the heart of it: risk of myocarditis is higher after COVID than after COVID vaccine