電子書籍のアクセシビリティに関して言えば、あらゆる人々が確実にデジタルリーディング(デジタル読書)できるような環境を形成するためには、様々な人の協力が必要です。著者と出版社から始まる道のりは、電子書籍のプラットフォームにたどり着いて終わりではないのです。
 実際の出版プロセスの外にいる組織が、出版社やインフォメーションプロバイダーが自社製品のアクセシビリティについてオープンかつ誠実な姿勢をもっていることを保証します。これは、エンドユーザーがその体験を最大限に享受することを助けると共に、出版社やインフォメーションプロバイダーが、自身のアクセシビリティへの取り組みに責任を持ち、かつ改善に向けた方策を提供する上で、有益です。
 また、これらの組織は、学生・教員・図書館利用者に最高の体験をもたらすため、図書館自身がコンテンツを評価する手段を提供します。

 ASPIRE は、textBOX と McNaught Consultancy によって開発されたサービスで、出版社とプラットフォームが、自社コンテンツのアクセシビリティについてのストーリーを伝え、透明性のある立場をとっていると明示することを助けます。
 ASPIRE は、出版社が自らの立場を率直に表明し、プラットフォームの長所を論じるだけでなく、課題に取り組み、制約を取り払うための手順について説明することを奨励しています。更に ASPIRE では、制約を取り繕うのではなく、それらの存在を率直に伝え、ヒントや回避策を提供するよう指示しています。結果、利用者はより効率的にタスクを遂行できるようになるのです。故に、プロダクトチームは、利用者が支援技術をどのように活用しているか、また、その技術が自社製品でどのように機能するのか、あるいはしないかについて熟知している必要があります。
 ASPIRE のテンプレートに則って、あらゆるタイプの利用者が持つニーズが考慮され、文書化されます。ASPIRE は図書館員向けの無料のリソースで、アクセシビリティ・ステートメントの透明性に基づいて出版プラットフォームをランク付けしたリストを提供しています。

 また ASPIRE が提供しているサービスのひとつに、ASPIREverified Accessibility Audit があります。
 ASPIREverified は出版業界で初となる、アクセシビリティ・ステートメントの検証サービスです。このサービスは、主要出版社およびベンダーによるアクセシビリティ・ステートメントを審査・採点・検証することで、コンテンツのための透明性のある環境づくりを支援するものです。彼らの取り組みは、出版社やプラットフォームのプロバイダーが顧客に対して明瞭なコミュニケーションを提供し、自社製品を取り巻く透明性の継続的な向上を奨励することで、アクセシビリティの向上そのものを促進することを目的としています。

 オリジナルの ASPIRE プロジェクトは、クラウドソーシングの手法により、さまざまな出版社/アグリゲータを評価しました。ベンダーは希望すればいつでも審査を受けることができ、審査を受けると ASPIRElist にそのスコアが反映されます。

 2019年、EBSCO 社は、ASPIREverified の監査でゴールドスコア(85点)を獲得しました。それからスコアを15ポイント向上させたことのみならず、プラットフォームとしても、出版社としても初となる最高得点を獲得したことで、ユーザーエクスペリエンス向上に対する、私共の献身的な取り組みを広く証明することができたと考えています。

 ASPIRE プロジェクトが開始されて以来、EBSCO 社は gold-rated の評価を獲得しており、利用者全体のアクセシビリティのニーズを満たすためにプラットフォームの開発を続けています。EBSCO 社のステートメントは、よく構成されており、インクルーシブで、そして何よりもユーザーを重視したものです。このステートメントは、EBSCO 社のアクセシビリティ向上への取り組みを物語るものであり、100% の ASPIRE スコアに十分値するものです。

Huw Alexander
Managing Director
ASPIRE

 2019年以降、EBSCO eBooks は ASPIREverified Accessibility Audit において、100%のスコア(満点)、ならびにランキング首位を維持しています。

 弊社は、ASPIRE が私共のアクセシビリティ・ステートメントを更により良いものにするためのフィードバックを提供してくれたことに感謝しています。私たちは、私たちのアクセシビリティ・ステートメントが、顧客やユーザーにとって明確で有用な、生きた文書であることを確認したいと考えています。ASPIRE は、私どもの業界全体でこれをサポートするのに役立っています。

Rob Smith
Principal Product Manager, Accessibility
EBSCO Information Services

数の力 - アクセシビリティ向上のためのその他のパートナー

 私共は、ASPIRE による監査に参加するだけでなく、社会的利益につながる技術の発展を支援・援助している非営利団体 Benetech とも提携しています。
 Benetech は、社会正義に関わるさまざまなプログラムを提供していますが、中でも最大のものは グローバル・リテラシー・プログラム です。弊社ではBenetech と協力して、出版社が、彼らの持つファイルのアクセシビリティをどのように最適化できるかを考えています。また、出版社に対しても、Benetech から研修を受けたり、アクセシビリティ推進のための協力関係を構築したりするよう薦めています。 そのほか、図書館員がサポートできるよう、出版社がアクセシビリティ向上に取り組むことを促す活動も行っています。

 EBSCO 社は情報のアグリゲータとして、また EPUB フォーマットの推奨者として、出版社と協力してファイルの弱点を特定し、出版社各社が、真にアクセシブルな電子書籍を制作できるよう、後押しを行っています。また最近、図書館をはじめとする電子書籍の購入希望者が、認定された出版社を識別し、より良い情報に基づいた購入の決定を行えるよう、Benetech GCA(Global Certified Accessible)バッヂのホームページ掲載を開始しました。 更に、受け取ったすべての EPUB ファイルのアクセシビリティをテストするために、カスタム検証ツールを構築しました。
 弊社では、このテスト結果を集約し、WCAG に準拠したタイトルを私共に送信している出版社を識別しています。
 EBSCO 社と提携している GCA 認定出版社、および WCAG 基準準拠の出版社をご覧になりたい場合は、こちらからどうぞ。

 更に昨年(2021年)11月、弊社はミシガン大学出版局(Benetech GCA 認証を取得した最初の出版社の1つ)と提携し、アクセシビリティをテーマにしたオンラインセミナーを開催いたしました。 Front End Developer 兼ミシガン大学図書館 UI Designer を務める Jonathan McGlone 氏と、弊社の Senior Project Manager である Emma Waecker が共に、GCA の認証プロセスや、図書館や研究者にとって最も使いやすい電子書籍の実現に向けてお互いの属する組織がどのような取り組みを行っているかについて、話し合いました。

 また弊社は W3C および The Carroll Center for Blind と提携し、確実な WCAG 2.1AA 準拠に向けたユーザー調査およびオンサイト試験を実施しています。 また弊社は、 DAISY コンソーシアムの一員でもあります。DAISY は、EBSCO EPUB コンテンツに推奨事項を提供するとともに、出版社を教育し、EPUB 仕様のページ番号を採用するよう働きかけを行っています。