Heather White, MLS (Master of Librian Science) は、EBSCO Faculty Select 担当の Senior Product Manager として EBSCO Information Services に入社しました。
EBSCO 社入社以前、Hether は、学術図書館員として17年間勤務し、高校図書館を皮切りに、大学、コミュニティカレッジの図書館でレファレンスおよび指導司書の職務に就いてきました。過去10年間は、Mt. Hood Community College(MHCC)の technical services librarian として資料調達、目録作成、紙媒体と電子資料のコレクション管理、ILS 管理、図書館技術一般を監督していました。

この記事では Heather の経歴についての詳細と、彼女の図書館職員として勤めた経験が EBSCO 社での新しい役割にどのように生かされるかをご紹介します。

私自身、Textbook Affordability で教員を支援した経験から、OER には学生が無料で使えるというだけではない、多くの利点があることを知っています。

EBSCO に入社する以前の、図書館員としての経験について聞かせてください。

私は17年間、学術図書館員として勤めていましたが、直近の5年間は MHCC のオープン教育資源(Open Educational Resources / 以下 OER)担当図書館員として、オープンライセンスとオープンな教育学(Open Pedagogy)で教員ならびに大学を支援してきました。
学内外の OER 助成金プロジェクトを管理し、また大学の OER コンプライアンス遵守を促進するため、書店、IT、教職員組合、学生自治会、大学長、財団、教育委員会といった学内のステークホルダー達と仕事をすることになったのです。
また私は OER メタデータの面で図書館の目録作成担当者と密に連携し、発見性の改善に努めました。私たちは OER MARC のテンプレートと OER 電子書籍出版サービスを作成し、目録とディスカバリーのための出版物データを標準化すると同時に、教員が学生向けに OER をカスタマイズしやすくしたのです。
また、非図書館員が運営する OER データベースに図書館の書誌管理のコンセプトを導入するため、私たちの OER MARC テンプレートを LRMI および Dublin Core メタデータ言語に翻訳するための国際的イニシアチブ OER Metadata Rosetta Stone に協力しました。
お話してきた通り、OER は私が情熱を注いだ分野であり、成果についても誇りを持っていますが、依然としてやるべきことが多く存在していることも分かっています。

なぜ OER やアフォーダブルリソースが重要なのですか?

(米国における)市販の教科書価格は、2000年から2021年の間に153%上昇しました。また USPIRG の調査によると、2020年時点で学生の65%以上が、高価であることを理由に教科書の購入を、21%が成績に悪影響を及ぼすとわかっていながら、オンラインアクセスコードの購入を見送っています。彼らは、目の前の請求書の支払いや家族を養うことが最優先なのです。
このような状態は今に始まったことではありませんが、COVID-19の流行により、その影響は際立ったものになりました。多くの学生が仕事を失い、中には家さえ失った学生もいます。
アフォーダブルな教育の需要は、かつてないほど切実なものになっています。多くの教員は、非常に長い間、教育に対する経済的な障壁を意識し、OER やその他の低コストの教科書を提供する道筋を模索してきました。私は、Textbook Affordability で教員を支援した経験から、OER には学生にとって無料というだけではない、多くの利点があることを知っています。

例えば、ある教員は、学生が授業のある部分で躓いているのを見て、OpenStax に収録されていた生物の教科書をカスタマイズしたものにログインし、学生たちが理解しやすいように内容の言い換えを行ってあげました。また別の教員は、公平性というレンズを通した世界の神話の教科書を執筆しました。歴史的な支配者だった西洋の視点からではなく、世界の歴史と組み合わせ、多様かつバランスのとれたテーマで章を構成したのです。執筆から出版、利用開始までは8カ月でした。
私が今紹介した OER 教科書はどちらも完全に無料で、見つけることさえできれば、誰でもいつでも自分の授業のために利用したり、内容を修正したりすることができます。

Faculty Select を担当する上で、期待していることは?

引き続き OER の発掘に携わることができることを、とても嬉しく思っています。前述の2つと同様、世の中には質の高い OER が沢山ありますが、正式な出版経路を通っていないこと、また EBSCO が Enhanced Subject Precision と呼んでいる、より的確な検索を実行する上で必要なメタデータの補強がないことから、発見性に乏しい状態です。私は technical services librarian として、OER の発見性が貧弱なことに、いつも悩まされてきました。ですが、Faculty Select はこの問題を解決する糸口となると感じています。

また、図書館が所蔵する電子資料の利用率を高め、また図書館の予算使途を正当なものにするため、DRM フリーの電子書籍の購入を検討することにも、大きな期待を寄せています。図書館が蔵書開発・調達・目録作成などのワークフローを拡張し、オープンコンテンツ、特に所属の教員が公開しているコンテンツを含めることができるようになることを楽しみにしています。そしてもちろん、学生の教育費の節約に貢献し、世界規模で教授・学習における教員のイノベーションを支援できることを、とても嬉しく思っています。

Faculty Select の今後について教えて下さい。

私は、Faculty Select には、まだまだ伸びしろがあると考えています。
現在 Faculty Select は、正式に出版された OER、オープンアクセス、そして DRM フリーのコンテンツが収録されています。当面は、現在の発見性を調整しているるほか、教員の採用状況を追跡するために利用可能なレポートの種類を増やすなど、既存のお客様から頂戴したご要望に対応しています。

併せてオープンな電子書籍や DRM フリーの電子書籍を取り入れることで、また OER コンテンツ、特に補助的な資料を拡充することで、どの程度コストが削減できるのかについて、インサイトを提供したいと考えています。同時に、図書館員が学務・教務担当、LMSの設計者や、学部長の教員に見せるためのマーケティング資料も作成中です。

私は、お客様が Faculty Select に対して何を望んでいるのか、お客様から学びたいと考えています。EBSCO がオープンエデュケーションの精神に忠実に、オープンコンテンツと、例えば DRM フリーの電子書籍など、図書館における電子リソースの DDA(demand-driven acquisitions)を統合していくことが不可欠です。
もし、図書館が教員から要望のあった電子書籍の無制限アクセスのユーザーライセンスに予算枠を割り当てることができれば、Faculty Select は、学生や教員を支援するために存在している蔵書開発方針を補完するものとして、無料およびオープンのコンテンツを活用することで、図書館が属する機関との関連性を証明する助けとなるでしょう。

学生にとって重要なのは、OER であろうとなかろうと、図書館のリソースが自由に使えるという事実です。そして教員にとって重要なのは、コンテンツが高品質でり、なおかつ、自分たちで管理できるものであるということです。

学生にとって重要なのは、OER であろうとなかろうと、図書館のリソースが自由に使えるという事実です。そして教員にとって重要なのは、コンテンツが高品質でり、なおかつ、自分たちで管理できるものであるということです。
Faculty Select は、教員の授業計画策定やオンライン指導に深く組み込まれた図書館蔵書の開発哲学を通じて、この2つの需要を満たすことができるものだと考えています。