高等教育における student success への到達度と影響度を測定する「ラーニング・アナリティクス」は、比較的新しいコンセプトです。この言葉は当初、オンライン学習製品事業に関するものとして、Mitchell and Costello により2000年に作られました。 しかし、この言葉が教育や学問に関係する話題に発展したのは、10年ほどが経ってからのことでした。

ラーニング・アナリティクスは(本質的には学習の至適化を定義するもので)個人がどのように学ぶのか、また、どのような環境で学ぶのかを理解するための、シンプルな概念です。これは教育課程の特定・授業内容の改善・教授陣のパフォーマンス向上・卒業後の就職など、学術機関における中核的な教育要素を改善するために使用することができます。
また、ラーニング・アナリティクスでは、データマイニング・処理に、統合技術とレポート機能を組み合わせることで、傾向の把握・student success に対する影響度の把握・学業上の「リスク」を持つ学生の特定を行います。学生の動態を追跡することで、教育機関の各部門がどのように連携して学業の達成に影響を与えているかを深く理解することができるというわけです。

学生の学びと研究の改善には、情報リテラシー……つまり情報資源を見つけ、検索し、評価し、選択し、利用する能力がどれだけ優れているかが重要になります。そして多くの場合、図書館が情報リテラシー指導の先頭に立ち、図書館職員が情報検索スキルのファシリテーターとなります。図書館の利用状況と学生の目標達成を関連付けるインパクトのあるデータがあれば、図書館の重要性が証明されると共に、図書館員が、優れた学びにおける重要な基盤を管理・構築していることが明確になります。

図書館の利用状況と学生の目標達成を関連付けるインパクトのあるデータがあれば、図書館の重要性が証明されると共に、図書館員が、優れた学びにおける重要な基盤を管理・構築していることが明確になります。

近年、ラーニング・アナリティクスには様々な要素が絡んでくるようになりました。
その1つは、学習者または学生から生成されたデータのプライバシーです。ヨーロッパの GDPR にみられる世界的なプライバシー規制や、California Consumer Privacy Act (米国・カリフォルニア州消費者プライバシー法)のような地域独自の取り組みが盛んになる中、教育機関がラーニング・アナリティクスを活用する方法は、十分な配慮がなされたものである必要があります。また、図書館が人々の学び方にどのような影響を与えるかも、併せて考慮される必要があるでしょう。
図書館にとって、この進化したデータアプローチは2つの課題を抱えています。
一つは、言うまでもなく利用者のプライバシー保持です。図書館職員は、詳細な利用者エンゲージメントの指標を提供しつつ、利用者のプライバシーを保護するという倫理的責任を負っています。
二つ目は、データセットへのアクセスを、安全を担保しつつ、自動化・効率化することです。 図書館員は、別々のプラットフォームからデータにアクセス・収集し、分析のため、それらを手作業で組み合わせなければならない場合があります。このやり方は、従来の図書館評価指標に対しては、ある程度対応できましたが、図書館の影響力をより俯瞰的にみるために必要なデータセットを追加するには、拡張性が不足しています。更にデータ分析を手作業で行うというのは骨が折れるだけでなく、データ損失のリスク、さらにはデータ漏洩の可能性も高まります。

図書館のデータをラーニング・アナリティクスと適切に連携させるための最良の方法とは一体何でしょう? 入り口としては、ACRL(Association of College & Research Libraries)が最近公開した Learning Analytics Toolkit が最適です。このツールキットは、プライバシーと倫理に関する情報、student success に結び付く図書館データの例を提供してくれています。

ただ、仮に基礎がしっかりしていても、多くの図書館は、異なる種類のデータソースをとりまとめ、一元的にデータの安全性を確保するという問題に直面し、行き詰っています。次のステップは、データを取りまとめ、複数のデータポイント(例:学生の成績/ GPA や電子リソースの利用状況など)を単一のダッシュボードに集中させることができる図書館分析プラットフォームを活用することです。

そこで、弊社が提供する Panorama の出番となります。Panorama は図書館の利用状況と student success を簡単に結び付け、また、学術機関における学習分析をサポートします。以下の動画も、併せてご覧ください。